増担保規制実施後の出来高の変化 2016/01~2016/12

増担保規制出来高kisei-volume-histogram201601-201612

 

2016年1月~2016年12月の1年間に増担保規制が実施された銘柄の出来高の変化です。

まずこの1年間に増担保規制が実施された件数を実施基準ごとに分けた一覧表で該当する標本数を確認しておきます。

 

増担保規制が実施された件数

実施基準 第一次措置 第二次措置 第三次措置 第四次措置
(1)の「イ」 6 0 0 0
(1)の「ロ」 1 0 0 0
(1)の「ハ」 1 0 0 0
(2)の「イ」 1 0 0 0
(2)の「ロ」 124 19 0 0
(3)の「イ」 0 0 0 0
(3)の「ロ」 4 0 0 0
銘柄数 134 19 0 0
(1)の「イ」】と【(3)の「ロ」】の両方の実施基準に該当している銘柄が2つ、【(1)の「ロ」】と【(2)の「ロ」】の両方の実施基準に該当している銘柄が1つあるので銘柄数と合計は一致しない。

 

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増担保規制実施後の出来高の変化

増担保規制が実施された銘柄の出来高が、規制を受けて実際にどのように変化したのか検証します。ここでは規制前5日間の出来高平均と規制開始後5日間の出来高平均を比較してその増減率を調べました。

 

データの期間(規制実施日ベース)

2016年1月1日~2016年12月31日

 

対象となる規制実施基準

第一次措置のうち、【(1)残高基準の「ハ」】と【(2)信用取引売買比率基準の「イ」】を除いたもの。

基本的に「上昇」が過熱しているケースのみを対象としています。

 

標本(サンプル)数

132回

 

規制前後の出来高平均の増減率

出来高平均 回数 平均値
増加 6 +15.75%
減少 126 △63.53%
変わらず 0 0%
全体 132 △59.92%
賢者
うわあ、圧倒的ですね。これはどう見ても減っているとしかいいようがないですね。一応もう少し詳しく調べてみましょう。

 

各種数値

最大上昇率(増加)・・・+40.10%:「ネクシィーズグループ(4346)」〔2016/05/13〕
最大下落率(減少)・・・△96.42%:「内海造船(7018)」〔2016/09/26〕
平均値・・・△59.92%
中央値・・・△65.88%
最頻分布帯・・・△85.00%~△80.00%(18回)

日付は増担保規制実施日
賢者
最大上昇率の最大数値が最大下落率の半分にも達していません。中央値も平均値よりさらにマイナス寄り。最頻分布帯も平均値よりもマイナスの方向にあります。これは相当なものですね。ヒストグラムも確認しておきましょう。

 

ヒストグラム

kisei-volume-histogram201601-201612
賢者
今まで見てきたものとは違った形ですね。左に大きな壁というか崖を作っています。
長老
なかなか面白いものに目をつけたのう、賢者よ。
賢者
あっ、長老来てたんですか。これが価格の分布だったら最高なんですけどね。さすがにそれは欲張りすぎですかね。ハハハ。
長老
まあそうじゃな。しかしデータを己の目で確認するということは非常に大切じゃよ。増担保規制で出来高が減少するとは言われておるが、それが一体どれくらいのものなのか指摘したものをわしも今まで見たことがなかった。せいぜいチャートについてる出来高の棒グラフを見てなんとなくわかるくらいのものじゃ。それすらも親切に指摘しておるのは少数派じゃな。「増担保規制で出来高減少は当たり前」みたいな風潮があるが、これでは初心者にはチンプンカンプンじゃろう。それが2016年の1年間とはいえ、目に見える形で示されたんじゃから有意義なことじゃと思うよ。
賢者
長老にお褒めいただけるとは、ありがたいことです。

ところで、このデータを見て何かお気づきの点はありますか?

長老
そうじゃのう。ちょっと分けて考えてみようか。

増担保規制の直接的機械的効果というのは、第一次措置で委託保証金率が「30%」から「50%」に引き上げられることによって起きる。これを逆から見ると、同じ資金量で買える株数が「40%」減少するということじゃ。

資金量が3,000,000円で株価1,000円の株の場合、
規制前に買える数量:(3,000,000÷0.3)÷1,000=10,000(株)
 規制後に買える数量:(3,000,000÷0.5)÷1,000=6,000(株)
 買える数量の減少率:(10,000-6,000)÷10,000=0.4
長老
この時、出来高のすべてが信用取引というわけではもちろんない。増担保規制が掛かる時の信用取引の新規買付比率は大体50%弱じゃから多めに見て50%とすると、上で出てきた「40%」というのは全体から見ると「20%」に相当する。
規制前に現物取引で10,000株、信用取引で10,000株の出来高があったとすると、全体で20,000株の出来高となり、そのうち減少するのは4,000株なので
 買える数量の減少率:(20,000-16,000)÷20,000=0.2

長老
つまり増担保規制により減少した平均「60%」の出来高のうち、直接的な影響は実は「20%」に過ぎんというわけじゃ。
賢者
そうなんですか。では残りは?
長老
これが心理的影響というやつかのう。「増し担銘柄には手を出すな!」という。それとタイミング的にちょうど調整が入りやすい時期というのもあるやもしれんな。日々公表銘柄に指定されて目先天井を打った感を醸し出しているチャートも多いからのう。
賢者
なるほど。さすが長老、目のつけどころが違いますね!
長老
ほほう、そうかのう? そうじゃろう、そうじゃろう。ホッホッホッ!

 

賢者
前回調べた『増担保規制実施5日後の値位置 2016/01~2016/12』と合わせると、やはり出来高と株価というのは関係あるような気がします。
長老
そうじゃな。「関係がある」のは確かじゃな。しかし、それは「常に」相関や先行遅行が成立してる関係ではないので注意が必要じゃ。その時の状況によって先行することもあれば、ほぼ連動することもあるじゃろう。しかし世の中にはまったく関係を見出だせん銘柄も数多くあるんじゃよ。増し担銘柄だけを見ておるとちょっと気づきにくいかもしれんがな。出来高を見るべき時期と、見ておってもほとんど意味がない時期があるのでその見極めが重要じゃな。
賢者
そうなんですか。
長老
そうじゃよ。相場はそんなに単純なものではない。常に値動きの背後にいる、自分と反対の売買をしている相手方のことを意識しておかねばな。
賢者
私が苦手な分野ですね。

ちょっと話を元に戻させてください。出来高が減るのはほぼ確実ですが、それイコール株価の下落ということにはならないということですか?

長老
そうじゃなあ。今後も監視を続けておれば、出来高が減少しても下がらなかったり、逆に上がったりするケースが出てくることもあるじゃろう。大事なのは「出来高の減少がその銘柄にどのような影響を与えるか」ではないかのう。出来高即ち人気があるから上がっているのか、人気が無くても上がる要素があるのか。株の世界では似たような動きをしておっても中身が相当違うものがゴロゴロしとるからのう。
賢者
なるほど。分かったような分からないような。私にはまだ早すぎるというか、私の研究している分野とはちょっと違うような気がします。
長老
そうか、それでは深入りはすまい。(早くまるてんがそこそこのレベルまで成長してくれたら良いんじゃがなぁ)

 

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