増担保規制の影響による出来高の変化 2016/01~2016/12

 

賢者
減って増える、増えて減る。減った後に増えたとしても、同じパーセンテージだと元には戻らないから・・・。

ということは、どうなる?

長老
ほほう、なかなか良いところに目をつけたな賢者よ。
賢者
ああ長老、ちょっと今考えていたところです。

『増担保規制実施後の出来高の変化 2016/01~2016/12』で増担保規制が実施されることによって出来高がかなり減ってしまうことが分かりました。一方で『増担保規制解除後の出来高の変化 2016/01~2016/12』から規制が解除されることによってある程度出来高が回復することも分かりました。

一応表面上平均値は双方似たような数値なので、そのまま受け止めると元の状態に戻ったように感じてしまいますが、よく考えると一度減った数値は同じ割合で上昇しても元には戻らないことを思い出しまして。

長老
相場を実践するにあたって必要な、重要な概念じゃな。これを押さえておかんと適切なポジションサイジングや資金管理ができんからのう。
賢者
そうなんですか。私はホント実戦には疎いもので・・・。
話を戻しますと、一度減ったものが元に戻らないのであれば、最終的に増担保規制の影響で出来高はどのように変化するのかが気になってきました。
長老
その意欲が大切じゃ。そしてそれを実現させる行動力。早速調べてみなさい。データは既に揃っておる。
賢者
はい!

  

2016年1月~2016年12月の1年間に増担保規制が実施された銘柄の、規制が実施される前と規制が解除された後の出来高の変化です。

まずこの1年間に増担保規制が実施された件数を実施基準ごとに分けた一覧表で該当する標本数を確認しておきます。

 

増担保規制が実施された件数

実施基準 第一次措置 第二次措置 第三次措置 第四次措置
(1)の「イ」 6 0 0 0
(1)の「ロ」 1 0 0 0
(1)の「ハ」 1 0 0 0
(2)の「イ」 1 0 0 0
(2)の「ロ」 124 19 0 0
(3)の「イ」 0 0 0 0
(3)の「ロ」 4 0 0 0
銘柄数 134 19 0 0
【(1)の「イ」】と【(3)の「ロ」】の両方の実施基準に該当している銘柄が2つ、【(1)の「ロ」】と【(2)の「ロ」】の両方の実施基準に該当している銘柄が1つあるので銘柄数と合計は一致しない。

 

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増担保規制の影響による出来高の変化

増担保規制が実施された銘柄の出来高が、規制期間中の前後でどのように変化したのか検証します。ここでは規制実施前5日間の出来高平均と規制解除後5日間の出来高平均を比較してその増減率を調べました。

 

データの期間(規制実施日ベース)

2016年1月1日~2016年12月31日

 

対象となる規制実施基準

第一次措置のうち、【(1)残高基準の「ハ」】と【(2)信用取引売買比率基準の「イ」】を除いたもの。

基本的に「上昇」が過熱しているケースのみを対象としています。

 

標本(サンプル)数

132回

 

規制前後の出来高平均の増減率

出来高平均 回数 平均値
増加 5 +17.99%
減少 127 △74.16%
変わらず 0 0%
全体 132 △70.67%
賢者
うわあ、圧巻ですね! 規制実施時の時と基本的に一緒ですが数値がそれよりも大きくなっています。もう少し詳しく調べてみましょう。

 

各種数値

最大上昇率(増加)・・・+48.32%:「フィスコ(3807)」〔2016/01/08〕
最大下落率(減少)・・・△99.02%:「インタートレード(3747)」〔2016/12/28〕
平均値・・・△70.67%
中央値・・・△80.75%
最頻分布帯・・・△95.00%~△90.00%、△90.00%~△85.00%(2回ずつ)

日付は増担保規制実施日
賢者
こちらも申し分ありません。ヒストグラムも確認しましょう。

ん? 「△99.02%」って・・・。

 

ヒストグラム

volume-histogram201601-201612
賢者
これはキレイな形です。
長老
そうじゃな。有無を言わさね迫力を持っておるわい。
賢者
しかし、ホントここまで白黒ついた結果が出てくるとは思ってもいませんでした。どちらかと言うと、規制実施時のデータをやや右寄りにした形かと思っていましたが、さらに左寄りになっています!
長老
元々怪しげというかアテにならん平均値じゃったからな、規制解除の時のデータは。これで増担保規制の影響による出来高の変化の実体がわかったのう。
賢者
そうですね。ですがこれはあくまでも「出来高」ですよね。残念ながら「株価」そのものではないのであまり意味が無いような気もしますが・・・。
長老
前にも言ったじゃろう。物事に意味などありゃせんよ。人間がそれぞれ自分の都合の良いように勝手な意味づけをしとるだけじゃ。

そもそも相場をせん者には不要なデータなのは火を見るより明らか。相場でも為替や先物専門の者にとっても要らぬデータじゃな。株だって増担保規制と関係の無い銘柄はそうじゃ。

じゃが増し担になる銘柄にとっては、参加者が好むと好まざるとにかかわらず出来高減少の影響というのはついてくるんじゃよ。たとえ「自分は信用取引をしないから関係ありません!」と思ってる者にとってもな。

ただ出来高減少が株価に対してどのような影響を与えるかというのは、銘柄によって違うので一筋縄ではいかんというわけじゃな。そこが相場の難しいところであり、また面白いところでもある。

賢者
相場というものは奥深いんですね。私にはよく分かりません。

ですが私にとってこのようにキレイな形を作ってくれる統計データというものは非常に興味深く面白みのある対象であり、そういったものを調べたり探し出したりすることがどうやら私は好きなようです。

長老
ならばそれで良いのではないかな。そなたにはそなたの、わしにはわしの意味がある。

 

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