増担保規制解除5日後の値位置 2016/01~2016/12

 

2016年1月~2016年12月の1年間に増担保規制が解除された銘柄の、解除されてから5営業日後の値位置です。

まずこの1年間に増担保規制が解除された件数と該当する標本数をを実施基準ごとに分けた一覧表で確認しておきます。

 「上記1年間に規制が実施された銘柄」の解除後のデータではなく、「上記1年間に実際に解除された銘柄」のデータです。

 

増担保規制が解除された件数

実施基準 第一次措置 第二次措置 第三次措置 第四次措置
(1)の「イ」 4 0 0 0
(1)の「ロ」 1 0 0 0
(1)の「ハ」 1 0 0 0
(2)の「イ」 1 0 0 0
(2)の「ロ」 124 21 0 0
(3)の「イ」 0 0 0 0
(3)の「ロ」 2 0 0 0
銘柄数 131 21 0 0
【(1)の「イ」】と【(3)の「ロ」】の両方の実施基準に該当している銘柄が1つ、【(1)の「ロ」】と【(2)の「ロ」】が1つあるので銘柄数と合計は一致しない。

 

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増担保規制解除5営業日後の値位置

増担保規制が解除されてから5営業日後にどのような値位置にあるのかを検証します。

 

データの期間(規制解除日ベース)

2016年1月1日~2016年12月31日

 

対象となる規制実施基準

第一次措置のうち、【(1)残高基準の「ハ」】と【(2)信用取引売買比率基準の「イ」】を除いたもの。

基本的に「上昇」が過熱しているケースのみを対象としています。

 

標本(サンプル)数

129回

 

5営業日後

5営業日後 回数 平均値
プラス 42 +15.57%
マイナス 86 △11.99%
同値 1 0%
全体 129 △2.92%
賢者
おや、この数値は・・・。マイナスがプラスの2倍!?
平均値もマイナス!? 「実施」ではなく「解除」のはずですよね?
もう少し詳しく調べてみましょう。

 

各種数値

最大上昇率(陽線)・・・+54.95%:「インフォテリア(3853)」〔2016/01/26〕
最大下落率(陰線)・・・△33.28%:「ドーン(2303)」〔2016/02/05〕
平均値・・・△2.92%
中央値・・・△5.34%
最頻分布帯・・・△10.00%~△8.00%、△4.00%~△2.00%(2回ずつ)

日付は増担保規制解除日

 

賢者
最大上昇率こそ最大下落率より大きいですが、平均値だけでなく中央値もマイナス、しかも平均値よりさらにマイナス方向に振れてます。最頻分布帯もしっかりとマイナス圏にあるということは・・・。
 
長老
やはり面白い結果になったようじゃのう。
賢者
あ、長老。お越しでしたか。
先日長老がおっしゃってた(『増担保規制解除件数と解除日当日寄付きの値位置 2016/01~2016/12』参照)のはこのことだったんですか?
 
長老
そうじゃよ。増し担解除後に速攻でましたんワールドから逃げていく(注:日々公表銘柄の指定解除のこと)銘柄が多いのが気になっておったんじゃが、やはりこういう結果になっておったのじゃな。まさかこれほどまでの数字になるとは思っておらなんだがな。

この時期は先だって(『増担保規制実施5日後の値位置 2016/01~2016/12』)見たように特に市場全体で大きなトレンドもなくデータの検証をするにあたっては比較的良い時期じゃ。投資家の買い志向(嗜好)がありながらこの結果。やはり『増担保規制の影響による出来高の変化 2016/01~2016/12』で見たように、出来高の大きな減少というのはかなりのインパクトを株価にも与えておりそうじゃな。「出来高≒株価」の相関が常に成立するというわけではないと重々承知しておってもこの結果は非常に興味深いのう。

賢者
そうですね。私もとても驚きました。データをフィルターに掛ける際、規制の「実施」と「解除」を間違えたのかと思ったほどです。
 
長老
あれだけ増し担解除の際には注目を集めておる(『機能するライン』)のじゃから、それなりの結果は出しておると思ってしまうのも無理はない。まあある意味、増し担解除日の寄付き時(『増担保規制解除件数と解除日当日寄付きの値位置 2016/01~2016/12』)に結果を出し切っておるのやもしれんな。ヒストグラムも確認しておこうか。
 
賢者
はい。すぐに用意します。
 

 

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ヒストグラム

 

kaijo-5after-histogram201601-201612
長老
ほう、けっこうきれいな形をしておるな。
賢者
そうですね。全体に左寄りになっていますね。
 
長老
これもあれじゃな。中心をゼロでなく中央値や最頻分布帯で考えると、右方向へのロングテールが気になる形じゃな。
賢者
たしかにそうですね。
 
長老
こういった一部の特殊な銘柄の成功体験というか、上昇例が投資家の脳裏に刻みこまれてゆくのじゃろうな。大体下がる銘柄のチャートというのは、下がった時点(=損切りした時点)できれいに忘れ去られる運命じゃからな。ある意味記憶の非対称性というか。
賢者
なるほど、そういった心理的側面も相場には作用しているのですね。
 

 

投機の本質

賢者
出来高以外の他になにか下がる理由というものはあるのでしょうか?
 
長老
そうじゃな。そもそも増し担解除というタイミングを理由に買うという行為は純粋な「投機」じゃからな。投機の本質を考えたらある意味当然の結果なのかもしれんな。
 
賢者
投機の本質?
 
長老
というよりも「投機玉の宿命」と言った方が正確かのう。
賢者
投機玉の宿命とは一体何なのですか?
 
長老
反対売買じゃよ。買ったら売らなくてはいけない、売ったら買い戻さなくてはならない。
 
賢者
それがどのようにつながるのですか?
 
長老
増し担解除「だけ」を理由に買っていたのなら、増し担が解除されたら売らねばならんということじゃ。まあいつ売るかは買った人の自由じゃがな。でも売ることに変わりは無いんじゃよ。
賢者
一般の買いと何が違うのでしょうか?
 
長老
一般、いわゆる投資の買いなら元々買う根拠があるんじゃな。というか無ければいかん。そして、その根拠がある限り基本は保有し続ける。しかし増し担解除狙いの買いというのは、買う根拠は「増し担解除」そのものなんじゃから、解除されたらその根拠は自動的に消滅するんじゃよ。じゃから売らねばならん。それでも買いを持ち続けるのなら別の根拠が必要になる。その根拠が最初からあったのであればそれは元々投資(別の「投機」の場合もある)の買いであって、たまたまエントリーのタイミングが増し担解除になっただけに過ぎん。根拠も無いのに持ち続けるという行為は単なるギャンブルじゃな。
賢者
それはつまり、増し担解除を理由に事前に買っていた人が解除されたから売った、だから下がった、ということですか?
 
長老
簡単に言うとそうなるかのう。増し担解除以外にその銘柄を買う根拠というものを、投資家に認めてもらうことができなかった結果じゃな。先ほどのヒストグラムで右寄りにある銘柄は買う根拠を認めてもらえたということじゃろう。

 

増し担解除は「買い」ではなく「売り」!?

賢者
今回のデータから結論を導き出すと、増し担解除はこれまで考えられていたような「買い」の材料ではなく「売り」の材料ということになりますね。
 
長老
ことはそう単純では無いんじゃよ。たしかに今回の「5日後」の結果はマイナス方向であった。じゃが「解除当日」(『増担保規制解除件数と解除日当日寄付きの値位置 2016/01~2016/12』)はどうじゃった?
賢者
あっ、プラスでしたね!
 
長老
そういうことじゃ。しかも「規制実施5日後」(『増担保規制実施5日後の値位置 2016/01~2016/12』)のマイナスの数値と比べると今回のプラスの数値は小さい。5日というスパンを考えるとちょっと物足りん気がするのう。
 

↑ ↓ 「プラス」ではありませんでした。両方とも「マイナス」でしたね。勘違いしてました。すみません。m(_ _)m 2017/11/07
賢者
あちらはマイナスで「10%」以上、こちらはプラスで「3%」未満ですね。
 
長老
しかも出来高が(規制前と比べて)激減ときておる。出来高の少ない銘柄を売るのはなにかとリスキーじゃからな。
賢者
そうなるとどうなります?
 
長老
まあそうじゃな。「他に買う根拠が無いのに単に増し担解除「だけ」という理由で安易に買ってはいけない」という初心者へのアドバイスになるかのう。えてしてそういう銘柄は増し担で株価が下がり続けて値頃で買いたくなるようなチャートになっておるようじゃがのう。『ましたんランキング』にそういった銘柄が載っておるので参考にすると良かろう。
 
賢者
なんかちょっと残念ですね。もっと期待していたのですが・・・。
 
長老
期待するのは構わんが、現実は現実で受け入れんとな。相場とはそういうものじゃよ。
賢者
そうですね。過剰な期待は禁物ですね。それではこちらのデータも引き続き監視していきます。
 
長老
まあそう気を落とすでない。増し担解除をもっと違う視点で捉えたら面白い結果が出てくるやもしれんよ!
 
賢者
えっそうなんですか!?

 

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