株式投資には増担保規制銘柄にまつわる投資アイデアが二つある。
一つは現在筆者も検証実践中である、規制を事前に予測して売買に活かす方法であり、もう一つは規制がいつ解除されるのかを予測してそれを売買に活かす方法だ。
基本的には、規制がかかる場合は「売り」方向、解除される場合は「買い」方向でのエントリーになる。
面白いことにネット上に流れている情報は、「解除」のタイミングを予測するタイプの内容のサイトやブログの方が圧倒的に多い。
規制されている銘柄の方が数が少ないので捕捉しやすいという面は確かにあるが、予測に要する作業労力としてはどちらも大して変わらないと思うんだけどね。
やはりここにも「売り」よりも「買い」を志向する「非対称性」が存在しているのだろうか。
さて一般的には、増担保規制で離散した人気(=出来高)が規制解除とともに回復して再び上昇基調に向かう傾向があるという考えがある。
もちろん、「必ず上がるわけではない」という注意書きも一緒に記載されていることも多く、これまで急激に買われた理由が仕手筋などの力技に一般大衆が飛びついただけで、業績などの裏付けのない場合は上昇回復は期待できないとしている。
ただしその銘柄がどちらに当たるのかという分析や予測も載っておらず、規制解除後の株価の統計資料など客観的なデータの記載もない。
筆者も企業のファンダメンタル分析などはできないが、客観的にわかるデータからちょっとした考察をしてみようと思う。とは言っても筆者は、規制ギャップ狙い以外は基本的に持ち越しのポジションは持たない身分なので、実際はお気楽な予想にすぎないのではあるが。(笑)
まず規制が解除される条件を確認しておこう。
解除条件には(1)残高基準と(2)株価基準と(3)特例基準がある。
(1)残高基準
次のイ.及びロ.のすべてに該当する場合
イ.5営業日連続して売残高の対上場株式数比率が12%未満である場合
ロ.5営業日連続して買残高の対上場株式数比率が24%未満である場合
(2)株価基準
5営業日連続して各営業日の株価と各営業日時点における25日移動平均株価との乖離が15%未満である場合
(3)特例基準
(1)(2)の基準のすべてに該当している場合であっても、当取引所が信用取引の利用状況や銘柄の特性を考慮し必要と判断した期間は措置を解除しないことができる。
(3)の特例基準は取引所の裁量なので、予測しようがないため考慮しない。
(1)の残高基準は「既定」の数値に対する比率なのでこれも一応除外できる。
実は(2)の株価基準がけっこうスルーしがちだが大事な部分である。
移動平均との乖離の縮小というものは、一見単一の事象のことのように思えるが、実は二つのパターンがある。
一つは上がっていた株価が下落して移動平均に接近してくるパターンであり、もう一つは株価が横ばいまたは小幅の上昇をしている間に移動平均が上昇してきて接近するパターンである。
この状態で規制が解除される場合、最初のパターンでは株価は下落しており、後のパターンでは株価は横ばいまたは小幅の上昇をしている。
どちらがこれから復活して強くなりそうに見えるか?
順張り志向と逆張り志向で考え方は違う部分もあるが、通常は横ばいまたは小幅の上昇をしている方が強く見えるのではないだろうか?
ソフトフロント(2321)と日本ラッド(4736)はともに規制解除のリーチが掛かっている銘柄であるが、チャートの形はこうも違う。
これを内部要因から強引に説明すると、ソフトフロントの信用買い残の上場株式数に対する比率が15%以上あるのに対して、日本ラッドは5%に満たない。
この状況でどちらかを買わなくてはいけない選択を迫られたなら、筆者は迷わず日本ラッドを選ぶだろう。
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